医療現場で「患者サービス」や「患者接遇」という言葉は、1990年代より徐々に浸透してきました。
しかしすべでの医療機関が新人職員研修で接遇やマナー講習をおこなっているわけではなく、もちろん療法士の養成校でもそのようなテーマの講義は少ないのが現状です。
そのため、今回は療法士が1年目のうちに知っておきたい接遇に関して紹介していきたいと思います。
接遇に必要な心
接遇の心
相手を尊重する心
相手をもてなしたいと思う心
相手に共感する心
これらの心がないと、いくら接遇が技術的に優れていたとしても、患者には伝わらないものです。
例えば、職場での挨拶で「おはようございます」「お疲れさまでした」が気持ち良く感じる人と、そうではない人がいませんか?
ただ言われたから言い返しているだけの挨拶と、相手を思いやって発する挨拶とでは、受け手が抱く印象が全く変わってきます。
患者もいろいろな職員を見てきています。心がある言葉とそうでない言葉は、すぐ分かるでしょう。
療法士に必要な接遇
接客業をおこなう上で、上記の心は必須だと思います。
では次に、療法士に特化した接遇について考えていきます。
療法士の接遇の心
患者の病態を理解し、その状況における苦しみなどの気持ちを理解しようと努める心
その気持ちに合わせて、リハビリテーションを提供しようと努める心
患者の回復を共に喜べる心
患者と将来像を共有し、一緒に目標に向かって進めていく心
患者のモチベーションの変化を感じ取れる心
私たち療法士が相手(=お客)としている患者は、疾患や傷病など障害を抱えている人です。
美容師やエステティシャンなどの仕事における、今あるものをより良くするという考え方ではなく、悪くなったものを元々の水準に戻すという考え方をします。
そのため、患者の医学的背景や社会的背景、心理状態を特に意識して把握していく必要があります。
気を付けたい態度や仕草
接遇の心を身に付けた上で、次は態度や仕草で気をつける点を紹介していきます。
療法士は職員だけなく、患者からもその態度や仕草を見られています。
療法士は担当制で患者に対してリハビリテーションを提供することが多いため、「〇〇さんの担当の人はいい人そうだ」「△△さんの担当の人は無茶なことばかりやらせる」など、患者同士で噂話も起きやすいです。
よって、常に見られているという意識で業務にあたる必要があります。
以下に、何気なくやってしまうけれど、特に気を付けたい態度や仕草を紹介します。
歩き方
ペタペタと踵を擦るなど、音を立てて歩かない
忙しくても、走らない
姿勢良く、きびきびと歩く
会話
患者の聞こえる場所では、患者の噂話や同僚の悪口を言わない
個人情報の保護の観点から、厳守しなければならない)
患者の話を公共の場ではしない(職員同士の会話でも、患者の前では丁寧な言葉遣いをする
その他
腕組みをしない
手を後ろで組まない
患者介入中は、他の患者あるいは療法士のことをチラチラ見ない(ヒヤリ・ハット、教育指導等は除く)
ペタペタと音を立てて歩くことは、自分が思っている以上にベッドで寝ている患者に響きます。
また、患者介入中に他の療法士が何をおこなっているか気になってチラチラ見てしまう人もいます。
確かに気になる気持ちも分かりますが、あなたは見学中の人間ではなく目の前の患者に介入している療法士です。患者の立場からしたら、気分の良いものではないことを自覚しましょう。
態度や仕草においては、笑顔などプラスを増やしていくよりも、上記のようなマイナス要素をいかに減らしていくかを考えた方が、自身の行動を改める動機づけとしやすいです。
これら接遇の心や態度、仕草は全て「明日からすぐに実践できる」ものです。
明日職場で試してみて、周りの反応を確認しつつ徐々に成長していってください。
最後まで、ご覧いただきありがとうございました。