介護・医療

PT、OT、STが知っておきたいセラピストがより良い医療を目指すための10ヶ条とは?

「セラピストに求められる力」とは何だろうか?
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の皆さんは、一度はこのことを考えたことがあるのではないでしょうか。

セラピストの働き方が多様化している昨今で、改めて療法士の役割とは何かを聞かれるとなかなか言語化するのは難しいかと思います。

セラピストとしての地位や質を確保するためにも、改めて求められる力について理解しておくことが大切です。

そこで今回は、回復期リハビリテーション病棟協会が示している「セラピスト10ヶ条」を参考に、セラピストの役割を考えていきたいと思います。

セラピスト10ヶ条を知るメリット

自分が何をする職種なのか明確にできる

多職種に自分ができることを提示できる

自分たちの職域を守ることができる

セラピスト10ヶ条とは

一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会では、医師や看護師、セラピストや栄養士などの職種が、それぞれの立場でより良い医療を提供できるために、方針を示しています。

セラピストにおいては、回復期リハビリテーション病棟に勤務する従事者に対する業務指針として、2010年に第1版が策定されました。

そして2017年に新たに「PT・OT・ST5ヶ条」が追加され、より細分化された指針が示されるようになりました。

2018年にはマネジメント部分に特化した「マネジメント5ヶ条」が追加され、それに合わせセラピスト10ヶ条も第2版に改定されました。

このように、回復期病棟だけでもセラピストの在り方は年々変化してきています。
特にマネジメントに関しては、組織人としての意識を高めようとする意図が感じられます。セラピストが対患者のスキルだけ発揮すれば良い、という時代ではなくなってきています。

各指針の内容とは

セラピスト10ヶ条(第2版)

1 リハビリテーションマインドをもって専門職の使命を果たそう

2 心身機能の改善を図ろう

3 生活場面でのADL向上を促進しよう

4 ADLの獲得に向けて適切な装具・車椅子・福祉用具を導入しよう

5 患者の行動と疾病の危険徴候を見逃さず、事故や感染を予防しよう

6 カンファレンスは、定期的に多職種で開催し、今後の方向性を多職種で検討・一致させよう

7 記録や情報伝達は多職種が理解できる内容、言葉で表現しよう

8 病棟や在宅で介護を担う家族や介護者とともに、ケア方法を検討しよう

9 退院に向けての環境調整は、過不足なく行い、地域スタッフに繋いでいこう

10 患者に寄り添い、その人らしい社会参加を支援しよう

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士に共通して、疾病に対する知識や技術、改善に向けたアプローチ、多職種との連携が求められています。

特に社会参加の視点は、回復期病棟で従事していると意識が向きにくくイメージしづらい視点かと思います。
ふとした患者の一言が在宅へ繋ぐヒントになることもありますので、傾聴と分析の姿勢は重要です。

セラピストのマネジメント5ヶ条

1 チーム組織・業務体制を整え、改善活動を推進しよう

2 専門性・協働性・主体性のある人材を育てよう

3 データを収集・分析し、質向上に活用しよう

4 収益・費用を健全化し、適切なサービスを維持・向上しよう

5 機器・備品を整備し、安全で衛生的な病院環境をつくろう

セラピストである前に、一組織人、一社会人としての振る舞いが大事であることが記載されています。
会社に雇われている以上、業績を上げることが求められます。診療報酬下で働くセラピストの場合は、あまりイメージが湧かないかもしれませんが、経営者の立場としては会社の存続や従業員の生活を守る責任があります。

上記の5ヶ条を一人ひとりのセラピストが意識することで、組織として成長し逆境に陥っても、改善する強さを持つことができるでしょう。

PT・OT・ST5ヶ条

<PT 5か条 >

1 筋力、関節可動性、姿勢バランスなどの運動機能を回復させよう
2 全身の部位・状態などを観察し、不動による疼痛・虚血を予防しよう
3 呼吸・循環機能を高め、社会生活に必要な体力の向上を図ろう
4 課題にそった運動学習を促し、実際的な基本動作を高めよう
5 ADLの自立に向けて運動療法、物理療法などを駆使しよう

<OT 5か条>

1 ADL・IADLの実施状況を評価・介入し、生活機能向上につなげよう
2 生活行為に活かせる身体機能/操作機能の改善・獲得に取り組もう
3 認知・行為、心理的側面を包括的に捉え、その人らしい生活の実現を援助しよう
4 自助具や福祉用具を駆使し、対象者を取り巻く環境を調整することで生活機能を充実させよう
5 地域生活の拡大・充実(再建)に向けて個別性のある支援を行おう

<ST 5か条>

1 コミュニケーション機能の改善をはかり、意思疎通の向上に努めよう
2 生活の場でコミュニケーション環境の調整を行い、社会参加を促そう
3 摂食嚥下機能を高め、経口摂取を目指そう
4 その人らしい食のあり方を提案し、安全で安心な食事のあり方を提示しよう
5 高次脳機能障害を評価し、生活の再構築に向けた介入をしよう

PT、OT、STのそれぞれ専門性における、重要なポイントをまとめたものになります。

各専門職が何を得意としているのか、自身の職種だけでなく他を知るためにもこのポイントは役に立ちます。

反対に、これらの行動が各セラピストに課された責任であるとも、言い換えることができます。自分自身が日々の業務の中で、上記の行動ができているのか振り返ることも大切です。

今回のまとめ

・セラピスト10ヶ条は、より良い医療のために示されたもの。

・セラピストにマネジメント能力が求められるようになっている。

・自分たちの地位を確保するために、課された責任を果たすこと。

最後まで、ご覧いただきありがとうございました。

ABOUT ME
ともぞ〜。
介護支援専門員/理学療法士 病院や施設で高齢者と関わる仕事をしています。主に医療や介護に関する情報を発信していますが、メンタル面で生活に役立つことも記事にしてまとめています。