臨床における介入の実践では①情報収集、②検査・測定、③問題点の抽出、④目標設定、⑤治療という流れが一般的かと思います。
昨今では早期介入、早期退院の流れが主流となっていますので、できるだけ上記の一連の流れを効率的におこなっていきたいものです。
今回は、この流れを効率的に進めていく上での心構えについて紹介していきます。
この記事はこのような人にオススメ!
問題点が具体的にならず、治療効果も実感できていない人
やることが遅く、いつも定時で仕事が終わらない人
ただ惰性で、日々なんとなく臨床をやっている人
目次
心得るべき4つのこと
①情報収集、②検査・測定、③問題点の抽出、④目標設定、⑤治療のすべてにおいて、専門的な知識や技術が必要になりますが、その前に心得ておくべきことが4つあります。
常にその4つのことを意識すると、それぞれの精度が上がり質の高いものになっていきます。
では、その4つについて紹介していきます。
1.すべての流れにおいて漏れがないか
学校教育において、上記①〜⑤までの一連の流れは学習、実践してきたかと思います。
そこで大事なことは「学校で習ったことはほんの一部でしかない」ことです。
先入観や1つの考え方だけで捉えてしまうと、必ずと言っていいほど漏れが生じてきます。
この漏れに気づかずに介入を続けてしまうと、徐々に患者の状態と提供内容に食い違いが生じてしまい、目標達成までに時間を要したり目標達成が未然に終わってしまったりする可能性があります。
それならば、三歩進んで二歩下がるの精神で、自分のおこなったことをすぐ振り返るような確認作業を必ずした方が、結果的に効率よく進めるでしょう。
2.一貫性のあるものとなっているか
【 ①情報収集→②検査・測定→③問題点の抽出→④目標設定→⑤治療 】
このすべてがずれることなく、一貫していることが大切です。
一貫性のあるものにするためのコツとして、理由を自問自答することが良いです。
例)
検査・測定でこれをみる理由はなんだろう?
↓
情報で◯◯と記載があったからだ!
問題点をこれにした理由はなんだろう?
↓
基本情報で△△の生活をしていた
検査・測定で□□の機能低下がみられた
だからこの人の生活には、ここを改善する必要があるんだ!
大事なことは、自分の言葉で言語化することです。
理由が分からない場合は、先輩などに相談することも良いでしょう。しかし、相談して解決したつもりにならず、最終的には自分の言葉で整理できるようにしましょう。
3.限られた時間の中で終わることができるか
これは新卒の療法士が、最も失敗しやすいところです。
リハビリテーションにおいては1単位20分と時間が定められており、時間で行動することが求められます。
はじめのうちは基本的な情報をじっくり確認し、分からない言葉があればその都度調べて全体像を把握するように、努めていくかと思います。それはもちろん、大事なことです。
ですが、実際には時間をかけた割に整理ができなくて、何が大事な情報なのか分からなくなってしまった経験はないでしょうか。
ベストな結論を出そうといくら時間をかけたとしても、ベストな状態を作ることは難しいです。
大事なのはイメージ力と、ベターな状態で臨む行動力です。
限られた時間の中で動く自分の姿をイメージし、逆算をしながらどこに時間がかかりそうかを考えます。
そして完璧を求めずに、まずはやってみるという気持ちで一歩踏み出していくという心がけが大切になります。
4.患者との関係は疎かになっていないか
リハビリテーションの主役は患者であり、患者と療法士の適切な関係性があって初めて効率的な臨床をおこなうことができます。
適切な関係というと、信頼関係を思い浮かべる人が多いかと思います。
しかし、信頼関係という言葉は使い勝手がよく、実態がよく分からないものです。
では信頼関係は何によって成立するのか、次で考えてみたいと思います。
信頼関係を築く3つのポイント
1.説明の責任を果たす
説明責任のことを”アカウンタビリティ”とも言います。
何を説明する責任があるのか?
自分なぜ今あなたの前で話をしているのか
自分が何をする人間なのか
これからあなたに何を、何のためにしようとしているのか
これらのことを、患者が理解しやすいコミュニケーション方法で伝える責任があります。
声の大きさや言葉遣い、ジェスチャー等の工夫を心がけ、患者の理解を得るように努めます。
2.応答する責任を果たす
応答責任のことを”レスポンシビリティ”と言います。
患者から質問されたことに対して、応答する責任があります。
患者にとってリハビリテーションは、知らない世界のものばかりです。
漠然と「リハビリは厳しい」「リハビリは我慢しないといけない」などというイメージを、抱いている患者も多いです。
患者から聞かれたこと、あるいは介入してどのような反応が得られ、何が変化したのかをフィードバックしていくことが大切です。
3.結果の責任を果たす
ここでは、”アダプタビリティ(適応可能性)”と表現します。
自分が適切な関わりをしているのか。また、目標達成に向けて着実に進んでいるのか。などを伝える責任があります。
ここで大事なことは「効果が出なかったことを素直に認める」ことです。
患者に直接それを伝える必要性はケースバイケースですが、「今回の介入では効果がみられなかったので、原因は◯◯ではなかったことが考えられます。次は□□に着目して、また違う方法を試したいと思っています。」など、要は説明の仕方だとは思いますが、変化がないものは続けても仕方ありません。
また何がその患者に適したアプローチかは、試行錯誤していかなければ分かりません。
リハビリテーションは円滑に進むわけではないことを理解してもらいつつ、着実に一歩一歩前へ進んでいることを伝えるようにしましょう。
このアカウンタビリティ、レスポンシビリティ、アダプタビリティの3つを意識することは、信頼関係を築くことに大きく役立ちます。
責任感を持って仕事をすることは、信頼に直結しますので、この3つを日頃の業務から意識していくようにしましょう。
以上が、臨床における効率的な進め方のポイントです。
新卒のうちは悩むことが多いかと思いますが、コツを知っておくと悩みの早期解決につながるので、ぜひ視野を広くし様々なものを吸収していって欲しいと思います。
最後まで、ご覧いただきありがとうございました。