介護・医療

医療・介護職が知っておきたい「降圧薬」の基礎知識 〜高血圧の怖さとは〜

医療や介護の現場において、高血圧は馴染みの言葉かと思います。
そして患者あるいは利用者のほとんどは、降圧薬を内服しているのではないでしょうか。

しかしその降圧薬をなぜ飲む必要があるのか、なぜ降圧薬を飲むことで血圧を下げることができるのか、それら機序を理解して対応している方は少ないように感じます。

今回は高血圧に着目し、それに対する降圧薬の作用について紹介したいと思います。

降圧薬のことを知るメリット

身体の仕組みを知ることができる

高血圧以外の症状との関連が分かり、異常に即座に対応できる

患者・利用者への服薬の説明に説得力が増す

 

この記事はこのような人にオススメ!

薬に対して、漠然と苦手意識がある人

医師がなぜこの薬を処方したのか、関心がある人

自身も血圧が高くて、悩んでいる人

高血圧症とは

高血圧症は、代表的な生活習慣病であり、現在日本での患者数は4300万人以上と言われていますが、実際に治療を受けている人は全体の57%程度であると報告されています。

日本高血圧学会では、高血圧について

収縮期血圧:140mmHg以上 拡張期血圧:90mmHg以上

と定義しています。

高血圧の9割は明らかな原因のない本態性高血圧で、遺伝的要因に塩分過剰摂取、精神的ストレス、過労、運動不足、肥満などが関連して発症します。
一般的に何か目立った症状があるわけではありませんが、高血圧が起因となる死者は年間約10万人もおり、高血圧症は決して軽視できるものではありません。

また高血圧症は、心血管病による死亡の約50%、脳卒中に約50%の原因であると考えられています。

高血圧症はどう治療していくのか

先ほど高血圧症は、心血管病による死亡の約50%、脳卒中に約50%の原因であるとお伝えしましたが、適切に治療をおこない収縮期血圧を10mmHg、拡張期血圧を5mmHg低下させることで、心血管病リスクを低下することが明らかになっています(脳卒中で約40%、冠動脈疾患で約20%)。
これは、個人的にかなり大きな違いかと思います。

基本的に高血圧症と診断された場合、生活習慣の修正指導がおこなわれますが、それだけで目標数値に届く人は少なく、薬物治療をする場合がほとんどです。

降圧薬はどう選択しているのか

降圧薬には、本当にたくさんの種類があり、私たち現場で働いているスタッフからすると何がどう違うのか正直よく分かりません。
カタカナばかりがつらつらと並び、違いが分からないことが薬への苦手意識の理由の一つかもしれません。

「高血圧治療ガイドライン2014」によると、まず第一選択薬として以下があります。

・カルシウム拮抗薬

・アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)

・アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)

・利尿薬

・β遮断薬

利尿薬は字を見てなんとなく意味が分かりますが、その他は全然ピンと来ませんね…。

では、この機会にそれぞれの仕組みについて、整理をしていきましょう!

①カルシウム拮抗薬

血液の収縮には、カルシウムイオンというものが大きな役割を果たしています。
カルシウムイオンが血管平滑筋の細胞内に入り込むと血管が収縮するため、カルシウム拮抗薬というのは、カルシウムイオンが細胞内に入ることを抑え血管を拡張させることで、血圧を下げようとするものです。

②アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)

まずアンジオテンシンⅡという物質に、血管収縮作用があります。そしてアンジオテンシンⅠという物質が、アンジオテンシン変換酵素の作用によってアンジオテンシンⅡに変化します。
よってACE阻害薬というのは、アンジオテンシン変換酵素ををブロックすることでアンジオテンシンⅡが作られないようにするものです。

③アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)

アンジオテンシンⅡが実際に血管収縮作用を発揮するためには、血管平滑筋細胞にある受容体に結合する必要があります。
ARBはその結合する段階でブロックしてしまうことで、血管の収縮を防ぐものです。

ACE阻害薬との違いは、空咳が起こりにくいという点です。

④利尿薬

排尿を促すことで、体内循環血液量を減らして血圧を下げます。
水分が減れば圧も下がるという具合に、利用薬の降圧作用は分かりやすいですね。

⑤β遮断薬

心筋細胞のβ1受容体をブロックすることで、心臓からの血液の排出を減らして血圧を下げるものです。

注意点

血圧を下げるための過程には、様々あります。
血管平滑細胞自体に働きかけるもの、各臓器へ働きかけるものと、本当にたくさんあります。
医師は病態を把握し、どこの臓器に負荷をかけてはいけないか。何が禁忌となるかを見極めて、薬を処方しています。

同じ降圧薬だから、これも大丈夫だろう。と安易な考えで別の薬を飲んでしまうと、思わぬ事故に繋がります。

今は患者、利用者が飲んでいる薬の名前をネットで検索すれば、容易に種類や効能が分かります。
上記で紹介した降圧薬の内、担当している患者、利用者が何を飲んでいるか把握することで、より目の前の方の理解が深まるかと思います。

ぜひ参考にしてみてください。
最後まで、ご覧いただきありがとうございました。

 

ABOUT ME
ともぞ〜。
ともぞ〜。
介護支援専門員/理学療法士 病院や施設で高齢者と関わる仕事をしております。 健康が大事と言われておりますが、健康ってなんだろう?そう疑問に感じていました。その健康という言葉を、少しずつ紐解きながら今何ができるのかを考えています。 そういった中で得た経験について、講座という形でまとめています。