介護・医療

今知っておきたい認知症の基礎!症状から関わり方までを整理!

認知症を持つ高齢者は、今後も増加していくことが予想されます。

認知症といっても、様々な原因があり症状も多岐に渡ります。
「何回言っても、伝わらない」
「何をするか分からないから、いつも目が離せない」
認知症ということを頭では分かっているけれど、一緒に生活しているとつい感情的になってしまう…

このような悩みを抱える家族あるいは病院職員、施設職員は多いのではないでしょうか。

この記事では、前半に認知症の各型の症状を整理し、後半に私が実践してきた関わり方について紹介していきます。

この記事はこのような方にオススメ!

認知症の患者あるいは利用者への対応に苦慮している職員

家族が認知症と診断された人

認知症について関心があり理解していきたい人

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβタウタンパクというタンパク質が異常に溜まってしまい、脳細胞が損傷したり神経伝達物質が減少したりすることで、脳全体が萎縮し認知症状が引き起こされると考えられています。

長年かけてタンパク質が蓄積し脳に影響を及ぼしているため、現在の医療では効果的な予防や根本的な治療は難しいとされています。

症状

症状の進行は人それぞれ、多岐に渡ります。

傾向としては、初期短期記憶障害見当識障害認知機能障害がみられます。
まだこの時期では「忘れっぽくなった」「自分がダメになった」という自覚があるため、喪失感うつ症状不安が生じることがあります。

中期になると、即時記憶障害が出てきます。
家族から「今言ったばっかでしょ!」「何回も言ってるじゃん!」と言われ、自分自身も「なんで忘れてしまったのだろう…」と悩んでしまい、自尊心もボロボロになってしまう可能性があります。
中期には言語機能も低下してくるためYES、NOがはっきり言えなかったり、感情表現が言葉で表せなかったりします。
そうすると無気力になる、あるいは言葉で伝えられない代わりに暴力で意思表示をすることも生じてきます。
ただ大脳皮質の運動野や感覚野はまだ残存している時期のため、手足はこれまで通り機能します。
「すぐ忘れるし、変な行動ばかりするけど、足腰はしっかりしているんだよな〜」このように感じる場合も多いかと思います。
また、言葉ではうまく伝えられないですが、痛みや人の温もりも分かっています。ふれあい方には、特に注意していきたい時期です。

しかし末期になってしまうと、日常生活動作がいよいよできなくなってしまいます。
言葉が出ず、人と会話をすることが難しくなってくるため、人の意向を聞くことや、家族との関係性を築くことが困難になっていきます。

アルツハイマー型認知症の進行過程は、このように進んでいくとされています。
症状を十分に理解し、進行を緩やかにするためにはどのように関わればいいのか、そして初期〜中期にかけて本人からどういった情報を聞き取るべきなのか考えていく必要があります。

この初期〜中期にかけてをどのように過ごすかが、その人のその後の人生を左右すると言っても過言ではありません。

治療

効果的な予防や根本的な治療は難しいですが、神経伝達物質の減少を抑える薬はあります。
ものを覚えることに関わる神経伝達物質に「アセチルコリン」という物質がありますが、このアセチルコリンの減少を抑えるのが「コリンエステラーゼ阻害薬」という薬です(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンなどとも言われる)。

こういった薬を医師が処方してくれることで、症状の進行を緩やかにすることは期待できます。

脳血管性認知症

血管性認知症は、脳梗塞や脳出血など脳血管障害によって発症する認知症です。

脳血管障害では運動麻痺や感覚障害、高次脳機能障害を呈することが多く、脳血管性認知症と言われても、何がそれ由来の症状なのかはあまりピンとこないかもしれません。
複雑に症状が絡み合っているため、これが認知症の症状だ!とは一概に言えないところがあります。

症状

脳の様々な部位に障害を受けたことでみられる認知症のため、アルツハイマー型のような記憶障害遂行機能障害が出現することがあります。
脳血管障害によって損傷されていない部位の機能は保たれるため、脳内ネットワークのバランスが崩れることで、できることとできないことが極端になっている場合もあります。
また脳損傷部位によっては、自動調節能が破綻し、脳血流量が変動してしまうことで、症状に変動がみられることが、血管性認知症の特徴の一つです。

また感情のコントロールがうまくできないことも、特徴の一つです。
日常の何気ない会話の中で突然泣き出したり、怒り出したりするため周囲の人とトラブルに発展することもあります。

治療

脳血管障害の再発により、症状が悪化することがあります。そのため血管性認知症では、リスクファクターを抽出し再発を防ぐことが非常に大切になってきます。

脳細胞自体の治療は難しいですが、降圧剤や抗血栓薬、リハビリテーションによって状態が安定し、生活習慣を改善することができます。
悪化させないという視点では、これらの方法に加えて周りの人たちの理解がとても大切になります。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症とは、認知機能障害だけでなく運動機能や自律神経症状といった、パーキンソン症状を呈することが特徴です。

αシヌクレインというたんぱく質が大脳だけではなく、脳幹部や末梢自律神経にまで広く異常沈着することが原因とされています。

※ちなみにレビー小体の”レビー”とは、この神経細胞を発見したレビー博士の名前が由来です。

症状

①パーキンソン症状、②自律神経症状、③幻視、④うつ症状、⑤レム睡眠行動障害の
大きく5つの症状がみられます。

①パーキンソン症状

パーキンソン病のイメージがないと分かりづらいかもしれませんが、アクセルとブレーキの調整が効かないような、動きに固さがみられるような、そのような状態を指します。
そのためパーキンソン症状として
「動作が小さく、歩幅も狭くてちょこちょこ歩く」
「手足の震えがある」
「バランスが取れなくて、一度歩き出すとなかなか止まれない」
というような症状がみられます。
そのため転倒しやすく、大腿骨頚部(転子部)骨折腰椎圧迫骨折を引き起こしてしまうこともあります。

②自律神経症状

生活習慣への支障としては、便秘やめまい、失神などが生じることがあります。

③幻視

「あそこに誰か立っている」や、壁の傷を見て「虫が這っている」などと訴えることがあります。
現実にないものが見えるという症状は、他の認知症の特徴とは異なるため、幻視はレビー小体型認知症に特徴的な症状と言えます。

④うつ症状

比較的早期から、うつ症状を発症しやすいです。
アルツハイマー型認知症ほどではないが、記憶障害を併発することがあります。

⑤レム睡眠行動障害

レム睡眠とは「夢見ている」状態です。
その夢を見ながら行動を起こしてしまうため、寝ているのに手足をバタバタと動かしたり、奇声を発したりすることがあります。

治療

パーキンソン症状に対してはパーキンソン病の治療薬が用いられますが、レビー小体型認知症は薬剤に対する反応が過敏であるため、医療機関との連携が大切になります。

定期的に受診ができる環境を、作っておくことがポイントです。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉や側頭葉を中心に神経変性をきたすことで生じます。

前頭葉は理性を司るところで、いわゆる「天使と悪魔のささやき」のような「やりたい」「やってはいけない」をコントロールしてくれる部分です。
一方で側頭葉は、記憶言語理解聴覚嗅覚を司ってくれる部分です。

大脳の前頭葉や側頭葉が萎縮すると、理性や言葉の理解、記憶などが衰えてくるため、それに付随した症状がみられるようになります。

しかし理性や記憶だけをみてしまうと「単に性格が変わっただけ」「物忘れが始まっただね」と思われがちで、病気の発見が遅れる傾向にあるため、専門的な視点が必要になってきます。

症状

前頭葉症状がよくみられる行動型と、側頭葉症状がよくみられる言語型に分けると、理解がしやすいです。

①行動型

・自分の行動を抑制できない
・暴言暴力がみられる
・我慢ができなくなる
・同じ行動を繰り返す

②言語型

・話そうと思っても言葉が出なかったり、発音がうまくできなかったりする
・滑舌の悪い話し方が目立つようになる
・言葉の意味が分からなくなる
・日用品の名前が出てこない

前頭側頭型認知症の多くがこの行動型と言語型の両方を持っていますが、アルツハイマー型認知症のような認知機能の低下は、多くはないのが特徴です。

このような症状が続くと、自分自身でもダメだと自覚するし、相手からもダメだと言われるため、徐々に意欲が削がれ無気力な状態へと変化してしまい、喜怒哀楽の感情もなくなっていきます。

治療

どの認知症の型にも共通ですが、根治ということは現在の医療ではできません。
本人の精神状態が穏やかに、そして安定するように対症療法がおこなわれます。

症状が重症化し他者に影響を及ぼす場合には薬を処方していくが、基本的には周りの人の理解が得られるような支援、その人の家族も含めた関わりというのが重要となる。

関わり方

ここからは、私が実際に意識した関わり方について、紹介していきます。

認知症の症状と治療に関して前述しましたが、全てに共通して「周りの人の理解」が大切になります。

認知症と診断された人という側面

認知症の方と関わる上で「認知症と診断された人でもある」ことを理解することが大切です。

よく「認知症であっても一人の人として関わるように」と言われます。
確かにそれは大事なことで、その方が誰かを不快な思いにさせようとしたり、迷惑をかけようとしているわけではありません。

医師に診てもらって、医師から認知症であることを伝えられただけであり、それだけで変なレッテルを貼る必要はありません。

しかし一方で、認知症と診断された事実についても、しっかり受け止めなければならないのです。

この理由は、認知症という診断があるからこそ各医療・介護従事者の専門性を発揮できるというメリットがあるからです。
医師の指示のもとで動く医療従事者は、医師からオーダーを受けてその人の状態、できることできないこと、顕在能力と潜在能力を見極めることができます。

この専門的な見解がないと、支援するにしても何を支援して良いか分からなくなってしまうのです。
現実をしっかり受け止めるからこそ、具体的な対応策が見えてきます。

コミュニケーションの仕方

認知症の方とのコミュニケーションは、誰もが一度は悩んだことがあるかと思います。

私も悩みが尽きなくて「何度同じ話を続けるんだろう?」「病院から帰りたいって言うけど、全然うまく説得できない…」などと日々考えていました。

そのような時に参考になったのが「バリデーション」というコミュニケーション方法です。

バリデーションとは「認知症の方の言動や行動を意味のあることと捉え、認め、受け入れること」を言う。
詳しくはこちらから

基本的な態度として、以下のようなものがあります。

①傾聴する
②共感する
③誘導しない
④受容する
⑤嘘をつかない、ごまかさない

また具体的なテクニックとしては、以下のようなものがあります。

①レミニシング(過去の出来事について質問し、昔話をしてもらう)
②ミラーリング(相手の動作や表情を真似する)
③タッチング(スキンシップにより、相手の感情に寄り添う)

実体験

私は以前、帰宅願望が強い高齢女性の対応に悩んでいました。

夕方になると「もう家に帰らんと。出口はどこにあるの?」と何度も言われ、その度に対応に苦慮しました。
けれどコミュニケーションの仕方が分かってくると、「帰りたいという言動の意味」を考えられるようになり

「なぜ帰りたいか?」
「帰ったら何をしたいか?」
「誰が家にいるのか?」

など私も「意味のある質問」ができるようになりました。

その結果、その高齢女性には

「家に家事も何もできない夫が一人でいるから、私が早く帰ってご飯の支度をしないといけない」

という明確な理由があることに気づくことができました。

この方にとってより良い対応は
「夫に夕方電話を入れてもらい、ご飯を食べている報告をしてもらうこと」
であることに気づくことができたのです。

最後に

認知症の各型と、関わり方について紹介しました。

対応に正解があるわけではないですし、医療・介護従事者一人ひとり何を意識するかによっても関わり方が変わってきます。

でもそのお互いを理解しようとする姿勢がないと
「認知症って大変だよね」
「難しいよね」
だけで終わってしまい、根本的な解決ができなことが多いです。

理解しようとする姿勢があることで、お互いのより良い生活が実現すると考えています。

 

以上、認知症の症状と関わり方について紹介しました。
少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

最後まで、ご覧いただきありがとうございました。

ABOUT ME
ともぞ〜。
ともぞ〜。
介護支援専門員/理学療法士 病院や施設で高齢者と関わる仕事をしております。 健康が大事と言われておりますが、健康ってなんだろう?そう疑問に感じていました。その健康という言葉を、少しずつ紐解きながら今何ができるのかを考えています。 そういった中で得た経験について、講座という形でまとめています。