介護・医療

【不良姿勢】介護職が知っておきたい座位が与える心身への影響

介護現場において利用者の座っている姿勢が良くないと思いつつも、どのようにしていいか分からず対応できなかった、という経験のある方は多いのではないでしょうか。

実際に座位姿勢の不良は、心身に悪影響を与えています。
しかし実際に現場では

「長く座っていられなくて、すぐ横になりたがる」

「椅子からずり落ちて、転落したことがある」

「身体が、いつもどちらかに傾いている」

などの悩みを抱いているかと思います。

そこで今回は座る姿勢のことを改めて考え、まずはその影響について整理していきます。

この記事はこのような方にオススメ!

利用者の座る姿勢が気になる人

不良姿勢よる心身の影響を知りたい人

シーティングに興味がある人

座るとはどういう状態?

座るということを、専門的に考えてみます。

『基礎運動学』(医歯薬出版株式会社)によると

座位あるいは椅子座位は上半身を直立位として、上肢は体幹側におき、殿部と大腿後面で体幹を支持する。股関節と膝関節は90°屈曲位、足関節は0°とする。

と記載があります。

このような姿勢が座位の基本となりますが、座位から派生する姿勢として

上記のように机などを支えとした姿勢や、足を伸ばした姿勢(長座位)も座位に含まれます。

良い座位姿勢とは

何を良い姿勢と判断するかの基準は、どのような視点に立つかによって変わります。
それぞれの視点について、以下に記載しますので参考にしていただければと思います。

①力学的視点

余計な力が入っておらず、バランスが取れて安定している状態

②生理学的視点

循環器、呼吸器、消化器、泌尿器などの内臓器官に過剰な圧迫や負担が加わらず、正常に機能し疲労しにくい状態

③心理学的視点

喜びや幸福感、自信などは、身体が伸びた状態で表れる
一方不幸や劣等感などは、身体が曲がった状態で表れる

例)
嬉しい時は、バンザイで手が上にまっすぐ伸びる
つらいときは、頭が下がり背中が丸まった姿勢になる

④作業能率的視点

動作範囲や作業時間などを考慮した、その作業にもっとも適した姿勢や動作

⑤美学的視点

美的に見て美しいこと
バランスや対称性、プロポーションなどの観点から、人間の形態美は最良の健康と考える
ちなみに、8頭身が良いと考えるのは美学的視点によるもの

このように様々な視点がありますが、介護現場で考えるとしたら主に力学的視点や生理学的視点が良いでしょう。

安楽座位と能動座位

座位には、くつろぐことにふさわしい休むための「安楽座位」と、食事摂取や作業をすることにふさわしい「能動座位」があります。
その違いについて、以下に表で示します。

このように、休むための姿勢と作業をするための姿勢とでは、適切な姿勢や重心位置、椅子の形状が異なってきます。

皆さんも普段の生活で、ご飯を食べる時とリビングで休む時とは、椅子とソファを使い分けているかと思います。

現場では能動座位について悩むことが多いかと思いますので、次に能動座位でのみるべきポイントについて紹介していきます。

能動座位でみるべきポイント

不良姿勢が心身にどのような影響を与えるかを考える上で、『自律神経』はキーワードとなります。

自律神経系の心身へ与える影響に関しては、こちらの記事でも紹介しています。

緊張する理由とは?心身の仕組みを理解すれば対処も分かる!「緊張するから嫌だなぁ」そう思った経験がある人多いと思います。ですが緊張することには意味があり、デメリットばかりではありません。緊張の仕組みを知ることで、前向きに生活できるきっかけになります。...

注目すべきは、不良姿勢による交感神経優位の状態です。
車椅子座位にて思うように身体が動かせず、変なところに力が入り続けている状態が起きていた場合、筋肉の緊張をきっかけに交感神経優位の状態が他の器官に影響を及ぼしていきます。
では、食事場面を例に挙げてみます。

不良姿勢が引き起こす食事への影響

①食欲低下、下痢、便秘
唾液の減少、消化器官の蠕動運動の抑制により、食事摂取量や排泄機能の低下を引き起こす。

②誤嚥
筋肉が緊張し、咀嚼や嚥下がおこないづらくなる。また、呼吸の筋肉も緊張するため、浅く速い呼吸になることも嚥下力の低下を引き起こす。

③食事の楽しみの消失
食欲が湧かずに噛むことも飲み込むことも苦しくなると、徐々に食事への楽しみがなくなる。それにより人との交流の機会も少なくなっていく。

このように食事場面を考えただけでも、数々の影響があります。
何か病気があるわけでもないのに利用者の食事摂取量が減ってきている場合、その原因に不良姿勢があるかもしれません。

一つの事象に対しては、多角的な視点で評価をおこなっていくことが大切です。

最後に

今回は座位の基本的なことをお伝えしましたが、支援する上で決して軽視できない要素であることはお分りいただけたかと思います。

今後は不良姿勢について、実際にどのような対応をしていけば良いのかを紹介していきます。

最後まで、ご覧いただきありがとうございました。

ABOUT ME
ともぞ〜。
ともぞ〜。
介護支援専門員/理学療法士 病院や施設で高齢者と関わる仕事をしております。 健康が大事と言われておりますが、健康ってなんだろう?そう疑問に感じていました。その健康という言葉を、少しずつ紐解きながら今何ができるのかを考えています。 そういった中で得た経験について、講座という形でまとめています。