介護・医療

ケアマネジャーが知っておきたい”圧迫骨折”の病態とアセスメントのポイント

圧迫骨折は、ケアマネジャーにとって身近な疾患かと思います。

病院から新規依頼があったり、担当していた利用者が自宅で転倒し受傷したりと、圧迫骨折は高齢者にとって発症しやすいため、必然的にケアマネジャーも遭遇する確率が高くなります。

ですが「圧迫骨折って、どうして痛みが出るのだろう?」「圧迫骨折に対して、どのようなアセスメントをとればいいのだろう?」と悩む人が多いのではないでしょうか?

今回は圧迫骨折の病態を整理し、圧迫骨折に必要なアセスメントのポイントを紹介していきます。

圧迫骨折のことを知るメリット

再発予防のための支援ができる

ケアプランのサービス内容を具体的に考えることができる

自分自身の体の調子にも気を配ることができる

 

この記事はこのような人にオススメ!

圧迫骨折で、腰の痛みが続く利用者を担当している人

圧迫骨折に対して、どのような支援ができるか分からない人

再発予防のために気をつけることを知りたい人

そもそも圧迫骨折ってどういうもの?

圧迫骨折は背骨の”椎体”と呼ばれる部分にストレスがかかり、潰れてしまう状態を言います。

加齢や骨粗鬆症、多発性骨髄腫などによって、骨の強度が低下した際に起こりやすいとされています。そして圧迫骨折は、胸腰椎移行部に生じやすいです。

胸腰椎移行部とは?

背骨は椎体と呼ばれる骨が積み重なって形成されていますが、部位ごとに頚椎・胸椎・腰椎・仙骨と機能別に名称が分けられています。

上記図の赤矢印の部分が胸腰椎移行部となりますが、ここは背骨のS字カーブの弯曲の方向が変わる場所であることに加え、重量のある内臓を支えている部位でもあるため、負担がかかりやすいことで圧迫骨折を生じやすいとされています。

特徴的な症状としては、寝返りや起き上がりの疼痛があります。骨折によって神経まで圧迫されると、麻痺が生じることもあるため決して軽視できない疾患と言えます。
「朝起きる時に、腰が痛い」このように訴える利用者は、多いのではないでしょうか?

いつまでも腰の痛みを訴えるのはなぜ?

圧迫骨折を既往に持つ利用者の担当をした時に「なんで痛みが取れないのだろう?」と、疑問に思ったことはないでしょうか。

発症してからもう半年、気づけば1年経とうとしているのに、腰の痛みを訴えている。
整形外科の先生からは「もう歳だから仕方ない」と言われ、そういうものだと本人もケアマネも半ば諦めの気持ちになってしまっている。
こういったケースは、非常に多いかと思います。

しかし、痛みのメカニズムを理解しておくことで、もしかすると生活の中に改善のヒントがあるかもしれません。

その痛みは急性?慢性?

まず痛みには、急性痛と慢性痛に2種類があります。急性痛による痛みがいわゆる「体の危険信号」として、体の損傷している部位を広げないために与えるものとされています。

一方慢性痛は、損傷した部位が治癒したにも関わらず続く痛みとされています。
この慢性痛について、実は前述した急性痛を頭の中で誤って認識し、不安が増強することで発生しているのではないかと考えられています。

この誤った認識というのは、例えば不安や恐怖、ストレス、先入観や間違った知識といった心理的な要因と、労働状況や家族状況などの社会的な要因が複雑に絡んでいるのです。

慢性痛についてある研究によると

起因に問わず腰痛を発症した人の約30%は、その後1年が経過しても痛みは完全に回復しなかったことを報告している。
それら慢性痛が改善しなかった人の特徴として「抑うつ傾向な人」「痛みが生涯続くものと思っていた人」「なるべく動かない方がいいと思っていた人」などの傾向がみられたとのこと。

いつまでも痛みが取れない利用者の場合、そのような心理的、社会的な要素はないかアセスメントをすることがとても大切になります。

また急性腰痛なのか慢性腰痛なのかだけでなく、神経症状がみられないかについてもアセスメントの目を持っておくことも重要です。
例えば「尿失禁など膀胱直腸障害がみられることが増えた」「急激に体重減少がみられた」「足先まで痛みが走る」などの症状があれば、圧迫骨折との関連を精査した方がいいかもしれません。

朝寝起きに痛みを訴える人が多いのはなぜ?

寝ている間は、関節や筋肉が日中よりも固まった状態です。そこからいきなり動き始めることで関節や筋肉に対する急な刺激により、痛みが出てしまいます。
それだけでなく、寝ているときの痛みを感じていない状態から、起きる時に痛みを急に意識し始めるため、日中よりも痛みを強く感じるという側面もあります。

圧迫骨折の改善や予防で大事なことは?

圧迫骨折で一番厄介なのは、「痛みが長引くこと」だと思います。
痛みがあることで活動意欲が低下し、食欲もなくなることで負の連鎖に陥る可能性があります。
そのため痛みに着目した改善、予防における大事なことを考えていきます。

一番大事なことは「本人で管理していく」という意識づけです。

いつまでも痛みが取れない場合、本人の中で固定化された考えを持っていることが多いです。「圧迫骨折で骨が潰れているから、腰の痛みはもう治らない」「昔ヘルニアをやったことがあるから、その痛みがまた出てきたんだ」このように固執した考えを持っていると、慢性痛の改善は難しいです。

慢性腰痛の原因は、身体的要因だけでなく、心理的要因や社会的要因があります。自分自身の日常生活を振り返り、腰痛に関与しているものはないか自問自答することが改善の第一歩です。

そのためには、専門職からの正しい知識の提供が不可欠です。
理学療法士や作業療法士、管理栄養士や保健師など健康面に対して様々な視点からのアドバイスを受けることができる場を作ることが、ケアマネジャーには求めらていると考えています。

腰痛が起きやすい原因ってなに?

最後に圧迫骨折に限らず、腰痛が生じやすい様々な危険因子について紹介します。

①肥満

過体重や肥満は腰に負担をかけ、腰痛を発症しやすいリスクを高めます。
特に女性においては、BMIの高さと腰痛の発症率とに関連性が認められています。

②栄養

ビタミンDの欠乏は、腰痛と関連があります。

③喫煙

非喫煙者と比較し、喫煙者の腰痛発症率は高いとされています。

④睡眠

睡眠障害は腰痛や腰痛の痛みの強さと関連し、睡眠障害があるだけで腰痛発症リスクを50〜60%高めることが報告されています。

⑤運動習慣

スポーツへの参加や余暇時間の身体活動量は、腰痛の発症リスクを11〜16%低下されることが報告されています。

 

以上、圧迫骨折に関する基本的な知識を紹介しました。
ケアマネジャーの皆さんの、明日からのアセスメントに役立てば幸いです。

最後まで、ご覧いただきありがとうございました。

ABOUT ME
ともぞ〜。
ともぞ〜。
介護支援専門員/理学療法士 病院や施設で高齢者と関わる仕事をしております。 健康が大事と言われておりますが、健康ってなんだろう?そう疑問に感じていました。その健康という言葉を、少しずつ紐解きながら今何ができるのかを考えています。 そういった中で得た経験について、講座という形でまとめています。